からだのケアは「普段からの心がけ」が大事(写真:gettyimages)
からだのケアは「普段からの心がけ」が大事(写真:gettyimages)

 人気スタイリストの伊藤まさこさんは、最近ちょとした不調が気になると言います。最新の著書『そろそろ、からだにいいことを考えてみよう』(朝日新聞出版)では、漢方の専門家、陳志清さんと対談。食事やからだのケアについて、二人で語り合いました。その一部を紹介します。

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陳 なぜ人間はごはんを食べたくなるのかというと、それは血糖値が下がっておなかが空くから。その時に必要な分だけとればいいんですが、人はおいしそうなものを見たら、すぐに食べたくなるわけです。それに、一日三食というルールも誰が決めたのか? ということなんですよね。絶対ではない。要はバランスで、一日あるいは数日かけて調整すればいいんです。

伊藤 食べ方に加えて、からだ全体の代謝が落ちているんじゃないかというのも、今、すごく気になっています。

陳 その通りです。中年以降は、もうからだは成長しない。それなのに、若い時と同じようにたくさんとり入れてしまうと、当然、余ってしまいますよね。代謝が悪いというのは、からだが機能的に衰えているということなんです。

伊藤 衰えている……確かに。

陳 中医学的には、人間は自然界と一体の存在で、自然の一分子だと考えられています。自然には、一年を通して成長する時期と衰えていく時期がありますよね。人間も同じなんです。一生のリズムがあり、からだが成長する時期に需要が旺盛になり、たくさん食べても消化できますが、中年以降はそうじゃない。ただ、代謝が悪いといっても、それは相対的なもので、その年齢に合ったものになっているはずです。

伊藤 ガソリンがちょっとでも動くようになってきた、ということですか?

陳 そうです。逆に、動かさないでいると、バッテリーが上がってしまうので、突然運動すると筋肉痛になったり、息切れしたりするんです。

伊藤 そうか……。昔の自分と比べて「おかしいな」と思うのではなく、今の需要と供給を受け入れることが大事なんですね。そうして、自分がふだんからしていることの積み重ねが、これから先に影響してくるのだと。

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漢方の考え方とは?