「緊張していないフリをするよりも、緊張をオープンに」と廣津留さん(撮影/吉松伸太郎)
「緊張していないフリをするよりも、緊張をオープンに」と廣津留さん(撮影/吉松伸太郎)

 そんなに準備期間がないという場合は、舞台袖からステージに出て、いい演奏をして拍手喝采をもらってステージ裏に帰るところまでを頭の中で3回ぐらいシミュレーションしてみるのもおすすめです。そうすると、「あ、これ頭の中でやったことある」となって安心できるはず。仕事のプレゼンなどでも、いったん最初から最後まで頭の中で通してやってみるとだいぶ落ち着くんじゃないかなと思います。

Q.  廣津留さんでも緊張して失敗、なんてことはあるのでしょうか? 失敗してしまったときは、どうやって乗り越えていますか?

A. 大学院時代にカルテットで、とても繊細な曲を初めて人前で演奏する際、ものすごく緊張してボロボロになってしまったことがありました。ジュリアードの同級生や先生方の目の前で演奏するのは、「ジャッジされている」と意識しすぎて緊張してしまったんですね。ソロならまだしも、カルテットだと自分一人のことではないので責任重大。そういう状況も相まって余計に緊張しちゃったという……。結果がボロボロだったのは自分自身のダメージもかなり大きかったです。

 そのときはもう、同じ曲で再チャレンジして、失敗経験を塗り替えるしかないと思いました。実際に2回目に同じ曲を演奏する機会があって、そこではうまく演奏することができ、他のメンバーに「今回はよかった」と言ってもらえてだいぶ気持ちが復活しました。1回失敗しているだけに、「前回とても緊張して失敗してしまった。今回も緊張しちゃったらごめん」って、メンバーたちにひと言伝えておいたのもよかったかもしれない。彼らも「そういうことあるよね」とフォローしてくれたのがすごく心強かったです。頑張って緊張していないフリをするよりも、緊張していることをオープンにすることで自分の気持ちもやわらかくなった気がします。「そんなの言い訳じゃん」と思う人もいるかもしれないけど、緊張して失敗してしまうよりはよほどいい。正直に緊張していることを周りに言ってしまうのも対策としてはアリですよ!

構成/岩本恵美 衣装協力/BEAMS

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