「なるほど、他の紙で試してみても面白そうだね」
実験の話を興味深く聞いていた見学者の方がおっしゃった一言に、2人とも思わずハッとさせられます。
(たしかにポイ以外の紙の強さはどれくらいなんだろう……)
気になることは試してみようということで、教室内にあったポケットティッシュとトイレットペーパーを使って早速実験を開始しました。
見た目が似ている両者ですが、結果は大きく異なりました。
トイレットペーパーは一瞬のうちに跡形もなく水に溶けてしまったのに対し、ポケットティッシュは300個以上もスーパーボールをすくうことができたのです。
「こんなに差がつくとは思ってへんかったわ。ティッシュをトイレに流したら絶対詰まってしまうやん」
ティッシュペーパーをトイレに流してはいけないことは情報として知っていたものの、その強度を目の当たりにすることで、私たちは言葉の意味を肌で実感することになったのです。
この実験をきっかけに、さらに様々な種類の紙を調べてみようということになりました。もしかしたらポイに近い材質の紙を見つけられるかもしれません。
箱ティッシュ、コピー用紙、トレーシングペーパー、ペーパータオル……。
私たちは普段の生活で目に留まったものを次々に調査対象に加えていきました。その中でもペーパータオルの検証が特に印象に残っています。
ペーパータオルは手触りがざらざらで、実験前はすぐ破れてしまうに違いないという予想を立てていました。
K君はすっかり慣れた手付きで、スーパーボールを次々にすくい上げていきます。
「全然破れそうにないなあ」
予想に反し、実験を開始してから30分を過ぎてもポイには全く変化が見られません。
もしかしたら新記録が出るかも……淡い期待が頭をよぎります。
順調に増え続ける記録と、近づいてくる授業の終了時刻。親御さんがお迎えにくる時間ぎりぎりまですくい続けたスーパーボールの数はなんとまさかの”1千個”に到達しました。