香ばしく焼き上げた鰻に甘辛いたれがたまらない鰻丼(写真/筆者提供)
香ばしく焼き上げた鰻に甘辛いたれがたまらない鰻丼(写真/筆者提供)
握り寿司なら、脂ののった鰻を酢飯とワサビでさっぱり楽しめる(写真/筆者提供)
握り寿司なら、脂ののった鰻を酢飯とワサビでさっぱり楽しめる(写真/筆者提供)

 突然ですが、「鰻と聞いて連想することは?」と聞かれた時、皆さんは何と答えますか?「土用の丑の日」と答える方も多いのではないでしょうか?

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 古来より鰻は栄養豊富で滋養強壮に良いとされ、万葉集にも、大伴家持が詠んだ「夏バテでしんどそうな人に鰻を勧めておいたよ!」という歌が収められています。

 ご存じの方も多いと思いますが、土用の丑の日に鰻を食べる、というのは、江戸時代の発明家・平賀源内が知り合いのうなぎ屋に頼まれて考案したマーケティング手法です。夏の暑い時期に鰻を販売する方法を相談された平賀源内が、「今日は丑の日」と書いた紙を店先に貼っておくようアドバイスしたことが始まりと言われています。

 栄養たっぷりの鰻で夏バテを乗り切ろう、というのは古くからの日本の知恵。でも、ちょっと待って下さい。それは鰻がうまくなる「旬」とは別の話。では、鰻の旬はいつなのでしょうか?

 鰻は11月~12月頃にマリアナ海溝付近の外洋で産卵し、孵化した幼魚は5年から10年ほどかけて成魚になるといわれています。

 一般的に魚は、産卵に向けて餌を活発に食べている時期が脂が乗って一番おいしいとされています。なので、天然の鰻の旬は、9月~10月頃と言ってもいいのではないでしょうか。

 でも最近は天然の鰻は非常に少なくなってしまいました。スーパーや普通のお寿司屋さんで皆さんが目にしているのは、12月頃に孵化したシラスウナギをとってきて育てた、養殖の鰻がほとんどです。

 養殖にあたっては、5~10年もかけて育てていたのでは餌代等のコストがかかってしまうので、栄養価の高い餌を与えることで、半年~1年半ほどで食べごろこの大きさに育てて出荷しています。

 余談ですが、鰻はその生育環境で雌雄が決まると言われていますが、養殖の鰻はほとんどが雄なんです。過密環境によるストレスや早く育てる環境が影響している等の説がありますが、まだ正確な理由はわかっていません。

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岡本浩之

岡本浩之

おかもと・ひろゆき/1962年岡山県倉敷市生まれ。大阪大学文学部卒業後、電機メーカー、食品メーカーの広報部長などを経て、2018年12月から「くら寿司株式会社」広報担当、2021年1月から取締役 広報宣伝IR本部 本部長。

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一年中おいしい鰻