愛知県内に勤務する技術者を中心に、知人が自発的に集まるサークルのような感覚で週末ごとに議論を重ね、20年の東京五輪でデモ飛行することを目標に据えた。17年1月に退社し、東京で製造業の経営コンサルタント会社を起業していた福澤さんにさらなる転機が訪れたのは同年5月。「CARTIVATOR」が空飛ぶクルマの開発事業資金としてトヨタグループから4500万円の協賛金を得たのだ。
事業化に向け18年7月に立ち上げたのが「スカイドライブ」だ。中村さんと福澤さんが共同代表を務める「CARTIVATOR」と技術連携を保ちながら、3輪タイヤで地上も走れる2人乗りの空飛ぶクルマの開発に取り組む。電気自動車がそのまま空に飛び立つイメージだ。
「目指しているのは走って飛べる世界最小のモビリティーです」
最大重量400キロ。コンビニの駐車場2台分のスペースがあれば離着陸できる。昨年9月に無人飛行試験に成功。今秋の有人飛行試験を経て、23年の一般販売を目指す。
「離着陸場が街のあちこちに備えられ、ビルからビルへ移動するシェアリングやタクシーサービスが普及し、交通網や人々の暮らし方も変わるでしょう」
世界最大規模を誇る空飛ぶクルマの国際コンテスト「GoFly」の1次選考で、日本チームで唯一トップ10入りした「テトラ(teTra)」。同社代表取締役の中井佑さん(27)は、東京大学大学院博士課程に在籍する大学院生でもある。
「チャンスがあったからつかんだ、という感じです」
同コンテストはボーイングなど米国の大手航空業界がスポンサーに名を連ねる。17年11月にツイッターでたまたま募集告知を見たとき、「面白そうだな」と直感。コンテストの規定を読んで「これなら自分にもできる」と確信したという。
18年1月にSNSでメンバーを募集したところ、全く面識のなかった東京と愛知県在住の電気、航空、通信関連のエンジニアら社会人3人、学生1人が応じた。翌2月に「teTra」を結成。由来は「technology for Transportation」だ。コンテスト優勝と、人が安全で自由に空中を移動する社会の実現を目標に掲げた。