成功する人に共通するのが、「自分を見失わない」ことだという。逆に、失敗する人の共通点が「自分を見失う」こととも。「自分を見失わせるもの」とは、「無駄なプライド」だ。
「妙なプライドを持っている人は、ちょっとした成功体験を持っている場合がほとんどです。『自分はできるんだ』とか『これが自分に向いている仕事なんだ』とか思う人がいるかもしれないんですが、そうでもないんです。私自身で言えば、本書が売れてすごくうれしいんですが、これは本当にラッキーなこと。このような本をもう一度書けるかといったら、そこは調子に乗らない方がいいと思っています」
成功体験でつけてしまったプライドが、等身大の自分を観察する目を曇らせてしまうのだ。
さらに成功する人は「タイムコストを考える」と田村耕太郎さん。現在アメリカの上場企業の戦略アドバイザーを務める田村さんだが、その企業はベンチャーだけあって、創業者のリーダーシップとスピード感が半端ないと言う。
「今の成功者のほとんどは仕事を早く進めて失敗して学んでいます。早くやっていけば細かい失敗もしますが、そのプロセスは学んでいるので、早く成功する。誰も最初からパーフェクトを狙っていません。私の勝っている企業のイメージは、失敗したり嫌な奴がいたり仲が悪くなったりしてもとにかく次に行く。海外では失敗をなんとも思わない。やりながら変えていく。常に動いているイメージです。逆に、日本は成功してもとどまっている。失敗するとそこでウジウジしている。観察は大事ですが、実行しないと成功につながらない。完璧主義は危ないんです」
一方、田村さんは仕事の効率を上げるために「休む」ことの重要性も説く。
「長時間労働は、過労死の前に必ず生産性が落ちます。頭を空っぽにする訓練も大事です。瞑想(めいそう)ですね。簡単にいえば、ノーマインド。例えば、富士山をぼーっと見るだけでもいい。おいしいものを食べる時もそうなるでしょう。矛盾しているかもしれませんが、行き詰まった時にちょっとでもノーマインドの状態を作ることはすごく必要。『結果を出したら休む』ことで、新たな意欲も湧くはずです」