



変幻自在に姿を変える光、訪れた人を虜にする魅力的なアートの数々。チームラボが追い求めるものは、人々の感じる境界をなくし、時間と生命の連続を見せることだという。
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アートは難しい顔で鑑賞するもの。そう思い込んでいた先人たちは、こんな楽しいアートがある時代に嫉妬すると思う。何って、東京・お台場の観覧車のふもとに昨年6月オープンした「チームラボボーダレス」(森ビル デジタルアート ミュージアム:エプソン チームラボボーダレス)のことだ。
2001年から活動しているアート集団「チームラボ」が手がける、案内図や順路のない巨大なデジタルアートのミュージアム。今年4月には、優れた文化的施設に贈られる米国の賞「ティア・アワード」を、「東京ディズニーシー」「ユニバーサル・スタジオ・ジャパン」についで受賞している。
新豊洲駅近くにある「チームラボ プラネッツ」とあわせて、この1年で約300万人の入場者を見込む。ある平日の午後に出かけてみた。当日券は毎日ほぼ完売で、外国人観光客の姿も目立つ。チームラボによると、観客の3人に1人が海外からの来場で、さらにその半数がこのミュージアムに来ることを目的に日本を訪れているのだという。
薄暗い廊下を進んでいくと、無数のランプが色を変えるランプの森や人の動きで流れを変える滝など、数百台のコンピューターとプロジェクターが作りあげる空間が連続して繋がりながら次々にあらわれていく。誰かのインスタグラムで見たカラフルな「映える」風景も一杯だ。
無数のランプが美しく色を変えると、スマホを手にした観客からどよめきも。次のシャッターチャンスを待ったり、森を歩き回ったり。作品に触ったり、遊んだり、寝転ぶことのできる空間も用意され、観客は思い思いに作品を楽しんでいた。
「チームラボボーダレス」のオープンからまもなく1年。この成功を、「チームラボ」代表の猪子寿之さん(42)はどんなふうに見ているのだろう。
その前に、「『チームラボ』って何?」からおさらい。猪子さんが自己紹介してくれた。