日本ならではのカルチャーとして世界から注目を集め、いまや市場規模は150億円以上にもなるという2.5次元ミュージカル。自分の好きなキャラクターが現実に現れるという「魔法」に魅了されるファンが後を絶たない。
【女子が熱狂 2.5次元ミュージカルのフォトギャラリーはこちら】
* * *
いろんな要素があるなか、日本2.5次元ミュージカル協会の代表理事、ネルケプランニング代表取締役会長の松田誠は、2.5次元の一番の魅力は「魔法」だという。
「自分の好きなキャラクターが現実に目の前に現れ、パフォーマンスをする。ときには舞台を下りて客席にやってきて、その風を実際に肌で感じることができる。その瞬間、魔法にかけられたような気持ちになる。それが2.5次元の魅力だと思うんです」
ならば魔法を体験してみたい。ということで行ってきましたミュージカル『薄桜鬼 志譚(したん)』風間千景(かざま・ちかげ)篇(薄(はく)ミュ)。原作は幕末を舞台に新選組が活躍し、鬼が跋扈(ばっこ)する世界を描く女性向け恋愛アドベンチャーゲームだが、薄ミュは主人公が様々なキャラクターと結ばれるルートを一つの作品にしてシリーズ化している。今回は中河内雅貴(なかがうち・まさたか)演じる風間千景という鬼の剣士がお相手だ。
会場は熱気ムンムン。グッズ売り場も長蛇の列だ。ブロマイドを束で買う人、それをトレーディングする人、ファン同士で盛り上がる人。ほぼ女性だ。
着席してトキメク準備をしていたが……いざ物語が始まると、恋愛要素の前に、命を懸けて己が信念と仁義を貫こうとする男の絆の物語だということに気づいた。そう、(私を含む)女子が大好きなやつ。目の前で繰り広げられる壮絶な殺陣。生々しい音。そして悲しいクライマックス。キャストの気迫や思いがまっすぐ伝わってきて、気づくと涙が……。会場のあちこちからも啜り泣く声が聞こえてくる。なるほど、これが魔法なのか。それにしても風間と土方歳三(和田雅成(まさなり))の殺陣、美しすぎ!