金持ちの好むものはたくさんありますが、実は子どもの教育というのはすごく大きなファクターですから、学校(特に高校)の偏差値を上げることが非常に大事です。先日週刊朝日で東大合格者ランキングが発表されていましたが、ベスト30に入った公立高校はわずか六つ。私が受験した1970年代はベスト10の半分は公立高校だったはず。それがいつの間にかこんなことになっている。これで金持ちが地方に来ると思っている方がおかしいですね。子供が高校生になると、教育が心配で母親が子連れで東京に戻ってしまい、そのまま離婚する──。地方でよくある光景です。仮に東京から人を集めても教育が原因で離散します。
もう一つが納税する会社を増やすことです。オガールのように稼ぎまくって納税する企業をいくつ作れるか。自治体はすぐに大金をはたいて大企業の工場や商業施設を誘致したがりますが、彼らは稼げなくなればすぐいなくなります。あの新日鉄がけんもほろろに釜石を捨てた結果が今の釜石市。大企業には常にそのリスクが付きまといます。地元資本で地元の金を使いきる、サステイナブルな経済システムがマストなのです。
オガールは町外から年間100万人を集客し、しっかり紫波町に納税する。これがどれだけ素晴らしいことか。地方財政が地方選挙のテーマのかけらにもならなかったのは不思議でなりません。
※AERA 2019年5月13日号