今年は統一地方選挙と参議院選挙が重なる12年に一度の選挙イヤー、「亥年」。亥年の参院選は自民党の苦戦が目立つ。統一地方選で首長や地方議員が力を出し切り、参院選がおろそかになるためとも言われる。象徴的だったのが2007年で、第1次安倍政権が惨敗した。

「12年前を少し思い出してしまう」(林芳正前文部科学相)ような出来事も起こっている。

 4月5日に塚田一郎・前国土交通副大臣が、10日夜には桜田義孝・前五輪担当相が失言問題で相次ぎ辞任。失言や事務所費問題で5人の大臣が次々に辞任・交代する「辞任ドミノ」が起き、参院選に惨敗した前回の亥年選挙がダブってくる。自民党の中堅議員が言う。

「桜田氏の失言はこれが初めてではないが、今回の判断は早かった。参院選の前哨戦とも言える衆院補選(大阪12区、沖縄3区)に少しでも影響が出ないようにしたのだろう」

 しかし結果は両選挙区ともに敗退。その焦りから「増税延期」や「衆参ダブル選」という声が出始めているのだろうか。

 ただ、ある官邸関係者は補選の結果を「想定通り」と話す。

「どちらも自民党が最も弱い選挙区で、党内の世論調査で負けることはわかっていた。弔い合戦の大阪は3月までは自民党が優勢だったが、知事と市長のクロス選で流れが変わった」

 負けることがわかっていたなら、なぜ安倍首相まで応援に入ったのか。官邸関係者は続ける。

「勝つための応援ではなく自民党大阪府連の顔を立てただけ。一方、吉本新喜劇に出演したのはG20の交通規制への理解を呼びかけると同時に、憲法改正でタッグを組む日本維新の会に『選挙応援だけに来たわけではない』と伝える狙いがあった」

 参院選に向けた世論調査も出揃いつつある。ある自民党幹部は全体の状況をこう表現した。「そこそこ、自民はいい戦いをしている」

 政治ジャーナリストの鈴木哲夫さんは「桜田氏らの辞任も10連休ですっかり忘れられる」と話す。そして、連休明けからは「安倍劇場」が続く。

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