──順位や点数上の勝ちを求めるのか求めないのかが、分岐点になりそうですね。
高橋:フィギュアスケートというスポーツが特殊なんです。競技者なのにショーもできるというのが、僕を狂わせている原因です。他のスポーツなら、試合があって現役続行か引退かを決めるのに、フィギュアにはショーで滑るという選択肢もある。今の僕にとっては、ショーも試合も同じ位置づけになりました。
──ショーも本気で挑んでいくということですか?
高橋:そうですね。常日頃から、自分がどこまで表現できるのかを知りたいと思ってきました。常に上を目指していないと、どこが限界かわからないので、自分の限界を確認するために試合が必要だったんです。いま、こうしてお話ししているうちに腑に落ちましたが、自分の表現力の限界を確認するために、やはり現役という立場は必要だったんだと思います。
(ライター・野口美恵)
※AERA 2019年4月29日号-2019年5月6日合併号より抜粋