五輪2季前はあえて苦労する曲で表現力の幅を広げ、五輪シーズンには得意の曲で最高の演技をするという、まさに五輪に焦点を絞った計画だ。

 北京五輪はどんなレベルでの戦いになるか予想がつかない。

「五輪はまだ雲にちょっと隠れている感じ。明日ケガをしたら終わりだし。あと3年かけて、足りないところを見つけたい」

 全日本女王の坂本も、

「トリプルアクセルはそんなに簡単じゃないけれど、挑戦することに意味があります」

 と、トリプルアクセルの習得を宣言。練習では、回りきって転倒するところまで来ており「恐怖心はない」と話している。

 まもなく令和の時代が訪れる。平成元年は、伊藤みどりがトリプルアクセルを成功させアジア人初の世界選手権女王となった。令和は未知なるジャンプの時代だ。限界なき能力の戦いが、始まろうとしている。(ライター・野口美恵)

AERA 2019年4月29日号-2019年5月6日合併号より抜粋

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