最後に。
私が先に挙げた例文のパクチーやパンクロックの部分を、「愛」もしくは「人間」、「差別」と置き換えてみてもらいたい。見えてくるものがあるはずだ。
さて、ご報告。今回でこの「おぢ産おぢ消」は終了する。たったの1年間だけれど、お付き合いいただいた賢明なるAERA読者には感謝したい。週刊の連載は初めてのことで、しかもこんな伝統的な雑誌の中にあって、内容に関しては私の自由に任されていた。なんだか、一端の書き手として認めていただいたようでとても嬉しかった。おじさん同士のひそひそ話を“他所に覗かせる”イメージで書いてきた。私は、この一見「閉じられた言葉」を、少しだけ場所をズラして、それこそ全く話の通じないどこかの誰かと対話をしてこようと思っている。おじさんの地元で生産し、おじさんが消費するために、そこで得た種を持ち帰るのだ。そしてまたひそひそ話をしようと思う。多謝。
※AERA 2019年4月22日号