東京カンテイが調査しているリセールバリューは、100%を超えていれば、中古物件として販売したときに分譲価格より高く売れて儲けが出ることになる。
100%を超える条件を見ていくと、(1)最寄り駅からの所要時間では3~5分以内、(2)戸数規模では200戸以上、(3)階数では15階建て以上、となる。
この所要時間、戸数、階数の三拍子が揃っていれば、「富動産」になる可能性が高い。これまで取り上げてきた首都圏の5物件もこの三拍子のうち少なくとも二つ以上、三つとも揃っている物件もある。
首都圏以外でも、それに該当する注目物件がある。近畿圏でも大阪市を中心に超高層のメガマンションの開発が進んでいる。
大阪市の「シティタワー大阪本町」は、最寄りの大阪メトロ御堂筋線の本町駅から徒歩5分だが、ビジネスの中心地である本町のど真ん中だけに、職住隣接を目指す人たちの人気を集めそうだ。48階建ての免震タワーで、総戸数は854戸、今年9月からの販売予定だ。
大阪市では、JR東海道線の大阪駅北側のかつてのJR貨物駅の跡地開発、いわゆる「うめきた」再開発が急ピッチで進んでいる。その隣接地に建設されているのが、「グランドメゾン新梅田タワーTHE CLUB RESIDENCE」。51階建ての超高層マンションで、総戸数は871戸。今年6月からの販売予定になっている。
「うめきた」の開発によって、注目度がいっそう高まっているだけに、資産価値の上昇が期待できるのではないだろうか。
名古屋市では、かつて尾張徳川家の御下屋敷があった東区葵アドレスで、「シティタワー葵」の開発が進められている。名古屋市のなかでも住宅地としての人気の高いエリアの超高層マンションであり、名古屋市の中心部へのアクセスにも恵まれているだけに、注目度は高い。
さらに、仙台市では「パークタワーあすと長町」、福岡市では「モントーレ香椎浜サーフタワーセンターコート」なども注目物件の条件が揃っている。
最近は地方のなかでも特に、札幌、仙台、広島、福岡の4市は、地価やマンション価格の上昇が目立っているだけに、「富動産」候補になりそうだ。(住宅ジャーナリスト・山下和之)
※AERA 2019年4月22日号より抜粋