平成最後の月9「ラジエーションハウス~放射線科の診断レポート~」に主演する窪田正孝さんがAERAに登場。演じることへの思いについて、話を聞いた。
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見えない磁場を背負っているかのように、人を引きつける。最近のドラマでいえば、例えば「ヒモメン」。軽蔑の対象でしかないクズ男に“負けた”と思った。くるくる変わる表情、体全体から滲み出る愛情。ダメダメと思いつつもついつい引き寄せられていく。
カメレオン俳優とも称される窪田だが、これまで一番大変だった役はドラマ「デスノート」の夜神月(やがみライト)だという。「どんどん人を殺し、自分の曲がった大義へと進んでいく」キャラクターは、「精神的にキツかった」だけでなく、映画の撮影も重なり、物理的にも過酷だった。だが、
「その大変さがあったから、今それが経験値になっている。『デスノート』だけではありませんが、一作一作全力で向き合うとその分、全力で返ってくる『何か』がありました」
努力は裏切らない──。今春6年ぶりに出演した「唐版 風の又三郎」も全力投球。「癖になりそうな」ほど充実した舞台になったが、右足を負傷。主演ドラマ「ラジエーションハウス~放射線科の診断レポート~」の撮影開始直後のアクシデントだったが、やはり「何か」は起こった。窪田が演じるのは天才的な放射線技師。アクシデントは一転、自らMRIを撮られる貴重な体験になった。
「ケガで役者生活に支障が出たらどうしようとか、閉所恐怖症なので検査の不安があったんですが、若い技師さんが『人と人』という感じでとても優しく接してくださり印象に残りました。怪我の功名ではないですが、今回この体験を一番のキモにしたいと思っています」
(フリーランス記者・坂口さゆり)
※AERA 2019年4月22日号