■診断技術が進んできた
過剰なリンの摂取を制限することが腎機能保護には重要。論文などで報告されているのは、リンの成分配合が乾物量で「0・3~0・6%」が一般的な目安だという。
一方、病院で腎臓病と診断されたステージ3~4の猫は、市販の高齢猫向け総合栄養食から獣医師が薦める療法食に切り替え、投薬とセットで症状悪化を防ぐのがセオリーだ。
ただ、こうした対症療法の流れは、腎臓病の早期診断技術の進歩によって変わりつつある。
従来の腎機能マーカー「クレアチニン」は腎機能の75%が失われた段階でなければ診断できなかった。
これが、近年開発された腎機能マーカー「SDMA」だと、4割程度の機能が失われた段階で診断できる。これまで「不顕性」と類別されていたステージ1の慢性腎臓病も診断可能になったのだ。
しかし、と徳本社長は言う。
「SDMAを導入する動物病院は増えつつありますが、初期の腎臓病猫に与えるのに適した科学的裏づけのある療法食はこれまで存在しませんでした」
この課題とニーズに対応したのが、「日本ヒルズ・コルゲート」が3月25日に発売した「<猫用>k/d(TM)早期アシスト」だ。この療法食は、猫に必要なすべての必須アミノ酸を160%以上配合のうえ、除脂肪筋肉量を維持するのに役立つ「L–カルニチン」や、魚油由来の「オメガ–3脂肪酸」を豊富に配合。高品質、高消化性のたんぱく質を増量した。
その結果、早期の慢性腎臓病の猫の腎機能マーカーを安定させることが科学的に証明されたという。
今後は、初期段階で療法食を積極的に取り入れることが獣医界の新たな潮流になりそうだ。(文/渡辺 豪)
※AERA増刊「NyAERA (ニャエラ) ネコの病気と老い」から
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