

文部科学省と法務省が26日、およそ1400人の留学生が所在不明となっている東京福祉大学の実地検査に入った。留学生の履修状況や教育施設など、留学生の受け入れ実態を調べるためだ。同大の留学生数は早稲田大学に次ぎ国内で2番目に多く、2018年5月現在で約5千人。2014年からの4年間で約8倍に急増した。国内の日本語教育機関の学生を、入学定員のない「研究生」という形で受け入れる手法で、ベトナムやネパールなどの多くの外国人留学生を獲得していた。東京都北区の同大・王子キャンパスでは学生を収容しきれず、銭湯の2階やアパートの一室まで教室として使用していた。
「キャパシティーを超えた留学生の受け入れも元理事長の方向性である以上、おかしいと思っても誰も声を出せなかった」(東京福祉大の現役職員)
こうした経営の背景に、創設者で、元総長の中島恒雄氏(71)の存在があることを2019年4月1日号の「AERA」で報じている。中島氏は08年10月に同大の女性職員ら5人に対する強制わいせつ罪で懲役2年の実刑判決を受けているが、その後も文科省の指導に反し、経営に関わり続けた。文科省は11年に同大の経営学部新設を却下するなどしたが、同大の外国人留学生の増加とともに中島氏の存在感も増している。「中島恒雄 理念満ちて」などと歌う校歌の3番も、一時的に封印していたが18年4月から再び学生に歌わせ始めている。
東京福祉大学の現役職員が語る。
「彼の恐怖政治は人事です。気に入らない人がいれば、首にする。現在残っている幹部陣は元総長の操り人形ばかりです」
今回AERAは東京福祉大学の内部文書を入手した。中島氏の経営への関与を疑う文部科学省への回答書だ。回答書の日付は2019年2月6日。東京福祉大学理事長の水野良治氏の名前で書かれ、あて先は「文部科学省高等教育局私学部参事官付学校法人経営指導室」になっている。
「本学の認識」として、こう書かれている。