別の関係者も「(中島氏の)ご意向に異を唱えれば閑職に追いやられるか、最悪解雇になる」と打ち明ける。
同大を取材して驚かされるのは、こうした物言えぬ体制だ。
「職員は毎日、教員は週2回、A4用紙1枚の『業務報告書』の提出が求められます。問題がなければ上司ら6人程度のハンコが押されて返ってきますが、不満や意見でも書いたらすぐに呼び出されます。中島氏からの年賀状も毎年届く」(現役職員)
中島氏の独裁は、学内では「公然」というより「公」だ。系列の専門学校の関係者は一昨年、学則変更の案内に目を見張った。
「これまでは『役員とは理事長及び理事』だったのが『理事長及び創設者』に変わった」
日本私立学校振興・共済事業団は3月20日、18年度の私立大学等経常費補助金の交付額を発表した。同大は文科省には関与させないと報告していたのに、中島元総長の関与があったとして50%を減額している。
自身の施策が国会でさえ問題になる中、中島氏はどのように過ごしているのだろうか。
中島氏は今でも採用面接に携わり、例年、卒業式後の3月末頃に行われる教員研修には必ずいつも黄色のポロシャツを着て参加するという。
重度の糖尿病で一人での歩行は困難だが、まだまだ元気だ。饒舌に話をするが、系列の専門学校関係者は「話の大半は自慢話だ」という。
「自己顕示欲を形にすれば、中島氏になるでしょう。アメリカのトランプ大統領誕生後は、私はトランプの同窓生だという自慢話が多い。入学式や卒業式のパンフレットにトランプ大統領の写真を入れるほどです」
関係者は、中島氏のもう一つの「疑惑」も明かす。
「中島氏が理事長を務めるNPO『日本・留学生交流援護会』が奨学金を出す形で、海外から女子学生を連れてくる。これらの留学生の中には、中島氏と個人的な関係がある者もいる」
同NPOは「明日を担う世界の若者による交流活動の促進」などをうたい、個人や団体からの寄付を募っている。事実ならば、善意で支払われたお金が、中島氏の一族や関係者に還流していることになる。そんな事が本当にあるのか。同大に確認すると、文書で回答があった。
「奨学金の支払いに関しては存じ上げません」
「『個人的な関係』についても、存じません」
(編集部・澤田晃宏)
※AERA 2019年4月1日号より抜粋