【スペースBD】国際宇宙ステーションの「きぼう」日本実験棟からの超小型衛星放出サービスのイメージ。JAXAがスペースBDを事業者に選定した(写真:JAXA/NASA提供)
【スペースBD】国際宇宙ステーションの「きぼう」日本実験棟からの超小型衛星放出サービスのイメージ。JAXAがスペースBDを事業者に選定した(写真:JAXA/NASA提供)
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主な宇宙旅行の輸送サービス企業(AERA 2019年1月14日号より)
主な宇宙旅行の輸送サービス企業(AERA 2019年1月14日号より)

 地球を周回する「オービタル(軌道)旅行」で、既に実現しているのは国際宇宙ステーション滞在だ。

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 宇宙ビジネスコンサルタントの大貫美鈴さんが「宇宙旅行元年」と呼ぶのは01年。米国の実業家、デニス・チトー氏が自費で2千万ドル(当時のレートで約24億円)を支払い、国際宇宙ステーションに約1週間滞在する宇宙旅行を実現した。

 11年に米国の「スペースシャトル」が退役した後、ロシアの宇宙船「ソユーズ」は地球と国際宇宙ステーションを往復する唯一の輸送手段になった。ソユーズの三つの座席のうち一つを米国の宇宙旅行会社「スペースアドベンチャーズ」が世界の富裕層向けに販売。最初の購入者がチトー氏だったのだ。

 ソユーズを使って09年までに国際宇宙ステーションに滞在した宇宙旅行者は7人(現在は休止)。米マイクロソフト社で「ワード」や「エクセル」を開発した天才プログラマーのチャールズ・シモニー氏は宇宙旅行のリピーターとなり2度搭乗した。シモニー氏は「すべてが壮大」との感想を残している。

 オービタル機の搭乗価格は、高度100キロ超の宇宙空間に到達するサブオービタル(準軌道)機より2けた多い数十億円単位になるが、この分野も民間企業の参入によって価格破壊が起きる可能性がある。

 米国は20年代半ば以降、国際宇宙ステーションの運営を民間に移行する方針を示している。民間輸送サービスの主軸を担いそうなのが、米国の「ボーイング」の「スターライナー」と、「スペースX」の「クルードラゴン」だ。NASA(米航空宇宙局)は14年に、この2社にスペースシャトルの後継となる宇宙船の製造を依頼。両社とも19年中に国際宇宙ステーションに向けた有人試験飛行に踏み切る。別格とも言えるのが、テスラCEOのイーロン・マスク氏が創業した米国の「スペースX」だ。「ZOZO」(本社・千葉市)の前澤友作社長が1機丸ごとチャーターしたのは「月周回旅行」だが、スペースXは人類の火星移住を目標に据えている。

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渡辺豪

渡辺豪

ニュース週刊誌『AERA』記者。毎日新聞、沖縄タイムス記者を経てフリー。著書に『「アメとムチ」の構図~普天間移設の内幕~』(第14回平和・協同ジャーナリスト基金奨励賞)、『波よ鎮まれ~尖閣への視座~』(第13回石橋湛山記念早稲田ジャーナリズム大賞)など。毎日新聞で「沖縄論壇時評」を連載中(2017年~)。沖縄論考サイトOKIRON/オキロンのコア・エディター。沖縄以外のことも幅広く取材・執筆します。

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