これはビジネスの真理を言い表しています。きちんとお金を出すというメンバーで議論しても、良い物に限って7~8人の反対者がいる。10人が全員賛成するなんて、実際にはもう時代遅れもいいところで、やってもロクなものができるわけがありません。

 大原はクラボウで社宅を建て替えるなど労働環境を改善しようとした時にも、あまりにお金がかかると役員などから猛烈な反対を受けています。他の工場経営者からも馬鹿かと言われ、いわゆる労働保護論者側からも本気でやるのか、となじられましたが、反対を押し切りました。実態は採算度外視ではなく、お金を絞りつつも労働環境を改善し、結果としてクラボウは生産性が劇的に上がり、企業業績を伸ばすことになったのです。

 私の実感では、多くの人から反対を受ける事業ほど「仕事になる」のです。岩手県紫波町のオガールプロジェクトも同様で、反対者に迎合してプランを変更しても、結果は悪くなるばかり。反対者が必ず言うのは「みんなそう言っています」というわけの分からない同調圧力。いいですか。「みんな」という人格はいません。自分に都合の良い幻影を作り出しているだけです。

 皆さんのプランは10人中7~8人に反対されていますか? それをビジネスにしようと奮闘していますか? そういう状況で少しずつでも成果を出し始めているなら、自信を持ってください。それが本当の「仕事」ですから。

AERA 2018年11月12日号

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