ヒップホップ・アクティビストのZeebraさんが「AERA」で連載する「多彩な野菜」をお届けします。1997年のソロデビューからトップとしてシーンを牽引し続け、ジャンルや世代を超えて多くの支持を得ているZeebraさん。旬の野菜を切り口に、友人や家族との交流、音楽作りなど様々なエピソードを語ります。
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塩ゆでした落花生のおいしさを最近知ったんです。あれ、すごくいい。でも僕にとって落花生の思い出は、食パンにピーナツバターとジャムを塗った「ピーナツバター&ジェリー」です。アメリカでは一般的なおやつ。幼稚園のころ、マンションのお隣に外国人の家族がいて、そこの子がよく食べていました。うちにもピーナツバターはあったけど、なんだかモソモソして口の中の水分が奪われて、あまり好きじゃなかった。
その味に再会したのは小5の時です。当時の僕はもう洋楽ばっかり聞いていて。家でずっとFENをかけていた親の影響ですね。アメリカにあこがれて、洋画のワンシーンワンシーンを「こういうふうなんだ」って真似したり、ブレークダンスも必死で巻き戻して練習したり。そんなときに見た映画で、子どもがあのピーナツ&ジェリーを食べていたんです。
「あ、隣の子の!」と思い出して作ってみたら、甘さに適度な酸味が加わって「なんだ、うまいじゃん」って、はまりました。アメリカ文化をどんどん吸収したい時期だった影響もあるでしょうね。
※AERA 2018年11月12日号