以前フィンテックの話を書いたとき、「アメリカで5万ドルほどを一人の人間に会うこともなく借りることができた」という話を、日本の金融機関が遅れているという批判と受け止めた読者がおられました。ワタクシが言いたいのはそこではなく、それほどに個人情報が何者かによって握られ、流通しているという事実です。そこまで個人の特性を特定してしまえば、その「人間」にいくらまでお金を貸せるかなんて判定は実にたやすく、半沢直樹は必要ない世界なわけです。

 FBに至っては2017年現在で地球上の6人に1人が毎日見ているというデータがあります。つまりあなたは無償で、誰にも頼まれずに自分が何者か(性別、居場所、年齢、友人)、仕事は何か、何が好きか、などの極めてプライベートな情報を喜々として書き込んでいるのです。個人情報保護法がどうのこうのというのが馬鹿馬鹿しいレベルです。

 我々が勝手に自分を開陳している結果、ピンポイントでのマーケティングが可能となり、多くの営業職が不要になる。つまり「自分で自分の首を絞めている」に等しいという大矛盾に遭遇するわけです。

AERA 2018年10月22日号

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