ハイチ系米国人の父と北海道生まれの日本人の母を持つ大坂は、3歳で大阪から米国に移住してテニスに打ち込んできた。日本語は勉強中で、記者会見などは基本英語で行われる。そんな彼女から必要以上に日本語のコメントを引き出そうとする意地の悪いメディアの思惑は置いておいても、大坂の発言は躍進とともにいわゆる「なおみ語録」として海外メディアからも注目の的となっている。
全米オープンの準決勝勝利後には時差の大きい日本のファンに向けて「おやすみー、おはようございますー」と語りかけるなどの陽気さでファンを癒やした。決勝でかつての絶対女王で憧れの存在でもあったセリーナ・ウィリアムズを下した際には、目に涙を浮かべながら極めて日本人らしく思わずペコリと頭を下げた。その姿は世界中の人々の心をつかんだ。
パンパシフィック・オープン準々決勝以降の行方は締め切りの都合上、本稿ではお伝えできないが、今後も急成長する大坂の一挙手一投足に多くの目が注がれることは間違いない。そして、一過性のブームではなく、「大坂の時代」が海を越え、時を超えて長く続いたとしても決して不思議ではない。
筆者は何度も映像でプレーやインタビューを目にしてきたが、“生”で見て実感した。
「大坂、ハンパないって!」
(ライター・栗原正夫)
※AERA 2018年10月1日号