ワンオペ育児・家事の中でも負担が大きいのが料理だ。いざ、夫と料理を分担しても、食材管理の共有が難しいといった「冷蔵庫問題」が浮かび上がった。
教育関係の仕事に就く女性(50)は、夫が8年前から週1日、平日のノー残業デーに夕食を作るようになった。家事が楽になると思いきや、新たな負担に何年も苛(さいな)まれることとなった。
「夫と私はもともと食事の好みが正反対。夫に料理を任せる以上、好きなものを作ってもらい、口出しも手出しもしないと決めました。でも例えば、ステーキに天ぷらなんていうすごいメニューの日も……」
17歳を筆頭に中高生3人の子どもがいる。下の子たちが小学生のころまで、買い物は週1回、生協の宅配を中心にまとめ買いし、1週間でまわすローテーションを組んでいた。ところが、夫の料理デーが始まるや否や、このローテが狂い出した。
「なんで、それを使っちゃうの? 前から残っている食材を使ってほしいのに」
いちいち口に出して言うのはストレスだし、食卓の雰囲気も悪くなるので女性は口をつぐむしかなくなった。
「料理はただ作ればよいのではなく、栄養バランスや食材の在庫管理など周辺雑務がたくさんあります。そういったことも共有できるといいのですが、なかなか難しいです……」
『ワンオペ育児』の著書がある、明治大学商学部教授の藤田結子さんも、料理の分担の偏りのもうひとつの根本原因はそこにあると指摘する。
「料理が、洗濯や掃除など他の家事と大きく違うのは『マネジメント』負担が重い点です。食材の在庫管理に加え、乳幼児では月齢に応じた献立を考えたり、食事時間に合わせた段取りをあらかじめ組んだりするなど時間管理も必要」
それが料理の見えづらい「負担感の重さ」であり、分担の難しさでもある。アエラで「料理の分担」についてアンケートを実施したところ、そうした特性を受けて、「労力や金銭の効率を考えると、料理は夫婦のどちらかが担当するほうが好都合。その分は他の家事の分担でバランスを取ればいい」(40歳男性)という声が少なからずあった。