入学や就職、転勤や異動などにともなう新生活を迎え、この春、引っ越しを経験した人もいるでしょう。これまでかかりつけの歯科医がいた人は、引っ越し先で新たに「かかりつけ歯科医」を探す必要があります。歯周病専門医の若林健史歯科医師によれば、「できれば、事前に事情を話し、通っている歯科医から紹介してもらうのがいいと思います」とのこと。詳しい話を聞きました。
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歯科医からの紹介がいい理由の一つは、見知らぬ歯科医院にいきなり行くよりも、スムーズに主治医との人間関係を築きやすいことがあります。最近はインターネットで歯科医院を探す人も多いと思います。軽度のむし歯や予防のためのクリーニングなどで受診をする場合はいいですが、歯が悪くて定期的に歯科に通院が必要な人には、「この歯科医院は大丈夫か」と不安になることもあると思います。そうした心配がないのが、紹介のメリットでもあります。
歯科医が紹介先を決めるとき、一番多いパターンは同じ大学(歯学部)の出身者の中から探すことだと思います。大学ごとに同窓会名簿があるので、その中から、患者さんの引っ越し先の地域や治療内容に合わせて、選びます。
同窓会名簿には何歳も上の先輩もいれば、20~30代の若い歯科医師も掲載されています。卒業生は毎年出ているので、歴史のある歯学部では、かなりの数になります。
不思議なもので、同じ大学の出身者同士は会ったことがなくても、心が通じ合うようなところがあります。学生生活を6年間、その後、臨床研修と同じ場所で学んでいることがそう思わせるのかもしれません。患者さんにはそんな話も伝えて、「初診のときに話題にしてもらえれば」などとお話しして、送り出します。
神経の処置をするような大きなむし歯を治療している途中や、矯正治療の途中、さらに進行した歯周病を治療しているような場合は、それぞれの分野の専門医を探します。同窓生の中にいれば最適ですが、いない場合は各学会の名簿などで調べることができます。