「コンビニ百里の道をゆく」は、49歳のローソン社長、竹増貞信さんの連載です。経営者のあり方やコンビニの今後について模索する日々をつづります。
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夏の甲子園は、秋田県の金足農業高校の躍進が全国的なフィーバーを巻き起こしました。雪深い秋田で練習する県立高校の生徒が、名だたるエリート校に挑み、決勝まで勝ち進んでいく姿には、私も胸が熱くなりました。
実は、ローソンは6年前から金足農業高校の生徒たちと共同開発した商品を販売してきました。今年の5月25日には「金農 パンケーキ」「金農 デニッシュドーナツ」の2種類を販売。販売は6月で終わっていましたが、勝ち進むにつれ、SNSなどで再販を希望するコメントを多数いただき、8月23日から急遽「金農 パンケーキ」を秋田県内で再販売しました。これが大反響を呼び、入荷すると連日即完売。店舗には早朝に入荷するのですが、金農パンケーキを求めて行列ができるほどでした。
秋田県産あきたこまちの米粉と卵を使った、もっちり食感の生地。そこに秋田県「小玉醸造」のしょうゆを練り込み、りんごの蜜漬けを挟み込んでいます。しょうゆとりんごの甘じょっぱさが絶妙で、暑い時期には特に食べたくなるスイーツに仕上がっています。食に関心があり、勉強している金農の生徒さんたちが、地元の食材を使って、どうしたら自分たちならではの商品が作れるかを、試行錯誤した結果だと思います。
金農以外にも、ローソンは2008年から全国の高校生とコラボして、独自の商品開発を進めてきました。高校生の柔軟な発想で企画、開発された商品を、私たちが製造、販売する。地元の食材を使って、その地域ならではの商品に仕上げ、地元を中心に売る。まさに、地産地消です。高校生はビジネスの一端に触れることになります。一方、私たちも斬新な発想に触れ、大いに刺激を受ける。そして、地元のお客さまにも喜ばれる。「三方良し」です。
「金農 パンケーキ」の売り上げの一部は高校に寄付します。これからも、地域活性化の一助となるべく、高校生ともコラボしていきます。
※AERA 2018年9月17日号