人は孤独が続くと、体を壊し精神的にも病んでしまう。誰しもが直面し得る孤独とどう向き合うべきなのか。筑波大学教授で精神科医の斎藤環氏に聞いた。
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SNSでいつでも誰とでもつながれる時代だからこそ感じる孤独というのがあります。それは最近、「つながり孤独」とも呼ばれています。
SNSは1対1の関係が築きにくい。「1」に対し「多」が寄せる「いいね」は、疑似的な承認とも言えます。交換されるのは、親密さという情緒。表層を撫(な)で合う「毛づくろい的コミュニケーション」にすぎません。普段会わない人とつながる手段としてSNSを過度に活用した場合、かえって孤独感を募らせる可能性すらあります。
一方、人は大勢いるのに孤独が深まる場合も。特に学校や職場において顕著でしょう。それは、日本の組織が旧態依然としていて、同調圧力が強いから。その場に馴染(なじ)めない人は弾かれます。ブラックな働き方の職場なら、なおさらではないでしょうか。
人はまさに社会的動物。引きこもりの人を長年みてきた経験から断言しますが、長期にわたって抜け出す保証のない孤独に耐えられる人は、ほとんどいません。人は孤独が続くと体を壊すし、精神的にも病みます。だから、苦しいほどの孤独に陥ったら、プライドはかなぐり捨てて、とっととその場から逃げ出したほうがいいでしょう。