健康にいい、ダイエットに効く、美容効果がある……。あまたの食品や食事法がブームになってきた。あふれる情報と、影響される人々を、医師らは懐疑的に見ている。何を信じればよいのか。
【図表】え!こんなブームあったの?食や健康にまつわるトレンドの変遷はこちら
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タンパク質こそ、筋肉や骨をつくってくれる。ジムでトレーニングをして、その後プロテイン粉末を溶かしたドリンクを飲む。老いも若きも、昨今のはやりだ。だが、このプロテイン、腎臓に不安がある人にとっては要注意だ。話題の『医者が教える食事術』の著者で20万人もの患者を診察してきた、AGE牧田クリニック院長の牧田善二医師は言う。
「鶏肉や豚肉など、肉を食べて摂取するタンパク質と、プロテイン剤そのものを飲むのとでは、消化吸収にかかる時間も、腎臓にかかる負担も異なります」
牧田医師は、過剰なプロテイン摂取に警鐘を鳴らす。
背景に慢性腎臓病患者の増加がある。慢性腎臓病とは、時間をかけて腎機能が低下していく生活習慣病のひとつだ。透析が必要になるまで、自覚症状はほぼなく、異常はまず、腎機能の数値に現れる。牧田医師は言う。
「慢性腎臓病患者は、現在、全国に1330万人いると考えられています。全人口の約10%にあたります」
腎機能に問題がなければかまわないが、慢性腎臓病の検査は特殊で、人間ドックなどでは見つからないことがほとんど。腎機能に問題なしとわかっていなければ、プロテイン摂取は控えるべきだという。
「ある患者は、尿アルブミンの数値が突然悪化したので尋ねると、プロテインを飲んでいました。なんと70代の3~4割は慢性腎臓病といわれています」
慢性腎臓病の進行に伴い、心臓や脳の血管の病気も増えるという。さらに、慢性腎臓病のうち透析を必要とする患者の4割は、糖尿病の合併症「糖尿病腎症」だ。高血圧なども多い。
「多くの生活習慣病は連動して起こりますが、その元には食事の問題があります」
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