「コンビニ百里の道をゆく」は、49歳のローソン社長、竹増貞信さんの連載です。経営者のあり方やコンビニの今後について模索する日々をつづります。
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8月1日、通常のコンビニ機能に加えて、薬、介護、栄養相談窓口を併設した店舗を東京・千駄木にリニューアルオープンしました。薬剤師だけでなく、ケアマネジャーや管理栄養士にも相談できる場を店舗内に設けることで、医薬、介護、予防、生活サポート全般における地域包括ケアシステムを作りたいと考えたからです。
もともとローソンでは、「近くのローソンで薬が買えたら便利なのに」という声にお応えして、2009年から処方箋なしで買えるOTC医薬品の販売を始めていました。夜に子どもが熱を出しても病院は閉まっていて、ドラッグストアも遠くて薬が買えないという子育て世代も多く、お客さまに「ローソンに一番置いてほしいもの」を伺うと、薬は上位にランキングされます。
加盟店の皆さんの中でOTC医薬品を販売する登録販売者の資格を取る方も増え、累計で約1300人の仲間が合格しています。また、介護への需要も高まっています。ご両親の介護に直面している方だけでなく、「介護予備軍」の方も含めて「介護のことを気軽に相談したい」という声が多く届いていました。
「相談」レベルで行政に行くのは気が引けるけれど、近所のローソンなら行きやすい。そこで、介護用品の品ぞろえを手厚くし、ケアマネジャーに介護相談ができる店舗を15年にオープン。急速な少子高齢化で、ニーズはより高まるはずです。
千駄木の店舗は、これらをすべて複合し、栄養相談窓口も加えた「総合型」のヘルスケアローソンになっています。今やEC(電子商取引)で何でも買える時代です。買い物をする場所としてだけでなく、全国に1万4千店舗、近くにあるローソンだからこそできることがあるのではないか。
都会でも地方でも1人、2人暮らしの高齢者は増えていて、そうした方々のコミュニケーションの場にもなってほしい。
「健康」を通して老若男女が集まれる場となることを期待しています。
※AERA 2018年8月27日号