子どもが憧れるヒーロー、仮面ライダー。今秋から始まる「仮面ライダージオウ」で平成シリーズは20作品目を迎え、最後となる。今年は石ノ森章太郎生誕80周年。時代とともに変わっていった平成仮面ライダーの歴史の中でも、ファンに衝撃を与えたのが13人のライダーがそれぞれの望みを叶えるために最後の1人になるまで殺し合う「仮面ライダー龍騎」だった。
【写真特集】こんなライダーもいた!?“平成仮面ライダー”一挙参上!
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守りたい命があるから戦うライダーもいれば、殺し合うことそのものを楽しむ凶悪なライダーもいる。それぞれの立場で描かれる「正義」は、ライダー=善という固定観念をもぶっ壊した。衝撃的な内容に賛否両論が起こったが、子どもたちからはカードバトル方式の派手な戦闘シーンも好評で02年にバンダイが行った「お子様の好きなキャラクターは何ですか?」というアンケートの男児全体集計で平成ライダー初の1位に輝き、キャラクター商品売上高は139億円という大ヒットとなる。
テレビ朝日の総合編成局映画事業部長、佐々木基さんは語る。
「仮面ライダー同士が戦うということで、視聴者からは戸惑いの声が届いたと聞いています。でも大変な話題になったことは間違いなく、根底に仮面ライダーの常に変わらない強さと優しさを持ちつつ、問題提起ができたシリーズだったと思います」
“平成ライダー育ての親”と言われる東映取締役でテレビ第二営業部長の白倉伸一郎さんは言う。
「仮面ライダーだからできることがまだまだあるのではないか。いつまでも昭和ライダーのリメイクじゃなくて、これはシリーズ化していく意味があるぞと。ただ絶対に守るものは石ノ森イズムです。昭和ライダーと平成ライダーの一番の違いは石ノ森先生がご存命かどうか。先生のご裁可は仰げないけど、現代性を取り除いたときに、きちんと石ノ森章太郎が息づいていれば平成ライダーをやる意味がある」
白倉さんが石ノ森イズムとして拾い上げたのは仮面ライダーの3原則だ。まず「同族争い」。ショッカーの改造人間であるライダーが同じショッカーの改造人間と戦う。そして「親殺し」。自分を生みだしたものと戦って、最終的には倒すことが目標になる。最後に「自己否定」。ショッカーを壊滅させても、ショッカーの改造人間である自分自身は残る。