

〈利回り6.4% 期間13カ月 投資可能額4万円以上 募集総額3155万円 不動産事業者の土地仕入れ資金等〉
〈利回り9.2% 期間11カ月 投資可能額4万円以上 募集総額3505万円 自然エネ関連業者の土地取得資金等〉
ソーシャルレンディング(SL)最大手maneoマーケットの投資募集サイトには、投資をいざなう事業の概要や条件が並ぶ。高めの利回りに惹かれ、ここに個人の投資マネーが流れ込んでいる。
SLでは、投資家がサイト上で投資したい事業を選ぶ。希望金額を申し込むと、匿名化されたファンドを介して事業者にお金が貸し付けられる。事業者が一定期間後に利息をつけて返済した資金が、maneo社などの手数料を引いたうえで、投資家に分配される仕組みだ。
SLの売り文句は「お金を貸したい個人投資家とお金を借りたい会社のマッチング」。利回りと期間を事前に決めるため、投資経験の浅い個人には「お金を貸す」という錯覚を与えかねない(実際はお金が戻らなくなるリスクがある)。投資期間が短めで、数万円程度の小口資金でも気軽に投じられることも受け、SL業界が昨年1年間で集めた投資額は1300億円超と3年で約9倍に膨らんだ。
そんなSLの最大手maneo社について、証券取引等監視委員会は6日、投資の募集表示に虚偽があったとして、行政処分するよう金融庁に勧告した。
問題視されたのは、maneo社が投資を募った自然エネルギー開発会社グループの資金使途。自然エネ開発への融資を名目に、11〜14%の利回りで昨年12月までの1年3カ月で3084人から約130億円を集めた。だが、実際は自然エネ開発会社が一つの銀行口座でお金を管理。自己資金と区別せずに出し入れし、少なくとも10億円が目的外に使われたと認定された。
資金の流用先には、稼働実態のない証券子会社への増資資金が含まれ、そのうち5千万円は昨秋、細野豪志・元環境相に提供された。細野氏は今年4月に資産報告書を訂正し「借入金」との記載を加え、全額返済もしたが、資金提供時に借用書を作らず、利息を3カ月以上払わなかったことが朝日新聞の報道で明らかになった。投資家から10%超の金利で集めた開発資金の一部が、不自然な形で政治家に流れた形だ。