チャットモンチーが2018年7月をもって活動を“完結”する。11年にドラマーの高橋久美子が脱退して以降は、橋本絵莉子、福岡晃子の2人組バンドとして活動を続けてきた。
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昨年は、打ち込みのビートを駆使した実験的なチャットモンチー・メカ名義でのツアーも行っていた2人。“完結”について、あらためて聞いた。
「チャットモンチーは何回も(形態を変えて)変身してきたんですけど、メカの2人バージョンが、最終形態でいいんじゃないかという話になったんです」(橋本絵莉子)
「次のアイデアが本当に思い浮かばなくなってたし、やりたいこととお客さんが求めてるチャットモンチーのバランスを取れるのは、ギリギリここまでやなと思いました」(福岡晃子)
しかし、ラストアルバム(通算7作目)のタイトルは、完結とは真逆の意味にも取れる「誕生」だ。収録された7曲にも、さらに変身していきそうな彼女たちの姿が刻まれている。
「もちろん、また音楽性が新たになった、と言ってくださる方もいらっしゃるんですけど、この7曲もめっちゃギリギリだったんです。ただ、チャットモンチーとしては最後まで前進したかったし、その姿を見てほしかったんです」(福岡)
中でも耳を惹くのは、2曲目の「たったさっきから3000年までの話」だ。とっくに自分たちがいなくなった未来に思いを寄せた歌詞には、これまでにない率直さの鋭い言葉も並ぶ。
「いつもだったら絶対省いてるような言葉を入れたりとか、サビに歌詞がないとか、あの曲はすごくチャレンジした曲なんです。ラストアルバムではストッパーをかけないで、素直にパパッと書いた歌詞が歌えたらなと思ってました」(橋本)
この曲や、旧メンバーの高橋久美子が完結に向けて歌詞を提供した「砂鉄」ができたことで、難産と思えたラストアルバムにようやく手応えが見えてきたという。アルバムのラストは、「びろうど」。橋本の息子のコーラスを加えたこの曲は、チャットモンチーのこれまでへの感謝とこれから生まれる生命への橋渡しのような美しい曲だ。