ぐっちーさん/1960年東京生まれ。モルガン・スタンレーなどを経て、投資会社でM&Aなどを手がける。本連載を加筆・再構成した『ぐっちーさんの政府も日銀も知らない経済復活の条件』が発売中
ぐっちーさん/1960年東京生まれ。モルガン・スタンレーなどを経て、投資会社でM&Aなどを手がける。本連載を加筆・再構成した『ぐっちーさんの政府も日銀も知らない経済復活の条件』が発売中
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(c)朝日新聞社
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 経済専門家のぐっちーさんが「AERA」で連載する「ここだけの話」をお届けします。モルガン・スタンレーなどを経て、現在は投資会社でM&Aなどを手がけるぐっちーさんが、日々の経済ニュースを鋭く分析します。

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 終わりと言いつつ、また半分“パリ通信”みたいになってしまいます。

 いつも混むので避けている土曜日のシャンゼリゼ通りのブランドショップを久々に覗いてみたのですがやはりごった返していました。おみやげで頼まれたカバンを買いにルイ・ヴィトンに入ったのはいいんですが、ここは東京ディズニーランドか……。

 99%中国人。この日だけで10店舗くらい覗きましたが、日本人には一度も会いませんでした。日本人はどこに行ったんだ!

 商社マンとして初めてパリに来た1980年代、ちょうどこんなふうに日本人でごった返していたのを懐かしく思います。中国人がその代わりに来てるわけで、やっていることはあまり変わらない(笑)。レストランで大きな声で会話して顰蹙を買ったり、テーブルに着くなり靴を脱いで、靴下まで脱いで裸足で歩き回るおっさんなんていくらでもいました(笑)。その点では日本人は今の中国人観光客を非難する権利はありません(笑)。

 さて、表向きは消えてしまったような日本人ですが、今の若い子たちはすっかりフランスに根付いて、フランス人が欲しがるサービスをきちんと提供しています。当時は単なるお客さんに過ぎなかった日本人が今やフランス人の生活の中に溶け込んで、多くのフランス人に支持されているのです。

 日本食レストランはわかりやすいですが、フレンチのシェフとしてミシュランの星を取ってしまったり、三つ星のレストランのセカンドが日本人なんてのはざら。閉鎖的なワインの世界でもボルドーやブルゴーニュなど、日本人がワインを造らせてもらえるなんておよそ考えられなかったところでワインを造って、コンクールなどにも出てくるようになった。

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