相談者たちは、本来は怠け者というわけではなかった。彼ら自身、就職したいと希望を持ってハローワークに通ったりしてきた。けれども家賃を払うためにバイトで生活をつなぐうちに、職探しもままならない状況が続いていく。夜のシフトがあったり、体力が必要だったりするバイト仕事がだんだんきつくなり、就職するには厳しい年齢に達して……。なかには夜勤仕事が厳しくてもかろうじて続けてきたバイト先が、事業を縮小することになり、居場所がなくなったという人もいたという。
SNEP当事者は、親には相談できないのだろうか? 藤原さんは現状をこう語った。
「本人の身の上を案じる親たちは『仕事を探せ、探せ』と口うるさく言いますから、本人たちは疲れ果てて元気を取り戻せないところまで気力も体力も落ちてしまうんです。それに、すでに親は老齢に達しており、SNEPの彼らが親の介護にまわって身動きが取れないというケースもありました。そうすると仕事もままならない状態が続き、貯金もできず、結婚も考えられないというふうに、ないないづくしになってしまいます」
こうしたSNEPにきょうだいがいる場合でも、大概はきょうだいには相談できないのだという。(ノンフィクションライター・古川雅子)
※肩書などは新書出版時(2016年)のものです。