「現代では、セックスをしなくても、エクスタシーは至るところで味わえます。グルメや音楽、フェスの高揚感など、自己をなくして陶酔する感覚は、性愛の代替になりえます」
冒頭の女性のように、アイドルというファンタジーに己のリビドーを投影できる。
「性的な妄想ファンタジーと自慰があれば満足ということ。生身の性愛を実行する手間とリスクより、そっちのほうが得という判断です」(湯山さん)
人材コンサルタントで婚活塾も主宰する川崎貴子さんは、これまで2万人近くの男女の悩みを聞いてきた。
「未婚、既婚問わず、セックスレスが増えた背景は、忙しすぎるからでは」
スマホやタブレットがあれば、情報はどこでも得られる。仕事も子どもの教育も趣味も、エンドレスで取り組める。
「セックスというコミュニケーションの優先順位が下がった。レスで関係が崩れる夫婦もいますが、目標を通じて同志になり、『レスでもいいね』と良好な関係が続く夫婦も2~3割はいるように思います」(川崎さん)
(編集部・熊澤志保)
※AERA 2018年5月28日号より抜粋