「ラッカは静かに虐殺されている」/スマホを武器にラッカの惨状を伝える市民ジャーナリスト集団「RBSS」。メンバーはいまも国内外に分かれ、死の恐怖のなかで発信を続けている。アップリンク渋谷、ポレポレ東中野で公開中。ほか全国順次公開 [アップリンク提供 「ラッカは静かに虐殺されている」(c)2017 A&E Television Networks,LLC | Our Time Projects, LLC]
「ラッカは静かに虐殺されている」/スマホを武器にラッカの惨状を伝える市民ジャーナリスト集団「RBSS」。メンバーはいまも国内外に分かれ、死の恐怖のなかで発信を続けている。アップリンク渋谷、ポレポレ東中野で公開中。ほか全国順次公開 [アップリンク提供 「ラッカは静かに虐殺されている」(c)2017 A&E Television Networks,LLC | Our Time Projects, LLC]
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「ラジオ・コバニ」/IS占領下のコバニでラジオ局を立ち上げた20歳の大学生ディロバン。戦闘のただ中から復興の兆しがみえるまでの彼女の3年間を追う。5月12日(土)からアップリンク渋谷、ポレポレ東中野ほか全国順次公開(写真:アップリンク提供)
「ラジオ・コバニ」/IS占領下のコバニでラジオ局を立ち上げた20歳の大学生ディロバン。戦闘のただ中から復興の兆しがみえるまでの彼女の3年間を追う。5月12日(土)からアップリンク渋谷、ポレポレ東中野ほか全国順次公開(写真:アップリンク提供)
「カーキ色の記憶」/シリア人のアルフォーズ・タンジュール監督が「なぜシリア社会が混迷し、革命が始まったのか」を解き明かしてゆく。詩情と悲しみをたたえた映像が美しい。5月12日(土)から、アップリンク渋谷でアンコール上映(写真:アップリンク提供)
「カーキ色の記憶」/シリア人のアルフォーズ・タンジュール監督が「なぜシリア社会が混迷し、革命が始まったのか」を解き明かしてゆく。詩情と悲しみをたたえた映像が美しい。5月12日(土)から、アップリンク渋谷でアンコール上映(写真:アップリンク提供)

 今世紀最大の人道危機とされるシリア内戦。イスラム国(IS)の占領と暴力、破壊を経た現地の状況を内側から伝えるドキュメンタリー映画「ラッカは静かに虐殺されている」が現在公開されている。ここで取り上げられている市民ジャーナリスト集団「ラッカは静かに虐殺されている(RBSS)」とはどのような組織なのか。

*  *  *

「ラッカは静かに虐殺されている」は、アメリカ生まれのドキュメンタリー作家、マシュー・ハイネマン監督による作品。2014年、過激派組織「イスラム国」(IS)に占領されたシリア北部の街・ラッカの惨状を、スマホを武器にSNSに投稿し続ける市民ジャーナリスト集団「ラッカは静かに虐殺されている(RBSS)」の活動を追ったものだ。

 ISに斬首された人々の首が広場の柵に無造作にさらされる様子など、海外メディアが報じられない真実は世界に衝撃を与えた。一方で彼らの勇気ある行動は、大変な危険に満ちている。脅威を感じたISは彼らの自宅を探し出し、脅迫を繰り返す。仲間が捕らえられ、次々と処刑され、危険は家族にも及んでいく。マシュー監督は話す。

「ISについて調べているときにRBSSの活動を記事で知った。彼らとISの闘いをもっと広く世界に知ってもらうために映画を作ったんだ」

 メンバーの日常生活を描くことで、彼らの“人間としての顔”を国際社会に訴えることも大きな目的だったと言う。

「さらに重要なのはISが“イデオロギー=思想”であることだ。たとえISが去っても、その思想が残り、ほかの団体がほかの場所で似たような旗を揚げるかもしれない。僕はその危険性を映画で伝えたかった」

 シリア国内で身に危険の迫ったRBSSの中心メンバーたちはドイツ・ベルリンへと逃れていく。しかし、そこで彼らが遭遇するのはネオナチによる「難民・移民ヘイト」のデモ。さらに同じ難民のなかにもISの思想を持つ敵が潜み、脅迫はやまない。Skypeインタビューに応じてくれた、RBSSメンバーの一人、ハッサンは話す。

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