自民党の長尾敬衆院議員はツイッターで、黒い服装でセクハラに抗議する女性国会議員らの写真を添付し、「セクハラとは縁遠い方々」などと書き込んでいた。長尾氏は4月22日に発言を削除してブログで謝罪した。

 自民党の下村博文・元文部科学相は22日の講演会で、被害女性が福田氏との会話を録音したことについて「隠しテープでとっておいて、テレビ局の人が週刊誌に売るってこと自体がある意味で犯罪だと思う」と批判。発言内容が23日に報じられると、「『ある意味犯罪』と述べたのは表現が不適切でした」として撤回と謝罪のコメントを発表した。

 麻生太郎財務相は24日に福田氏の辞任承認を公表した際、セクハラ疑惑について「(福田氏が)はめられて訴えられているんじゃないかとか、ご意見はいっぱいある」と語った。

 こうした発言について、ジャーナリストの江川紹子さんは「セクハラが人権問題である、という基本認識がないのでは」と苦言を呈する。ただ、下村氏や長尾氏が、安倍晋三首相に近い政治家である点が強調されることには違和感もある、という。
「この問題は親安倍か反安倍か、という次元ではなく、人権意識が高い人と低い人のせめぎ合いだと思います。与野党対決型の課題にすべきではありません」

 自民党内にもセクハラに厳しい目を向ける国会議員はいる。政局絡みの思惑のみで対応せず、財務省のヒアリングなどには与党議員にも参加を促すべきだ、と江川さんは野党側にも注文をつける。

 女性の社会進出は時代の趨勢だ。要職に就く女性が増えれば、男性もセクハラやパワハラの被害者になるケースが一般化することもあり得る。そんな将来も見据え、江川さんは言う。

「現状では、女性がセクハラの被害者になるケースが圧倒的に多いため、女性の権利や差別の観点から語られがちですが、本来は性別を超えた人権問題として向き合う姿勢が必要です」

 社会の歪みをただすのは、普遍的な価値を共有する「私たち」の責務だろう。(編集部・小柳暁子、渡辺 豪)

AERA 2018年5月14日号

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