再選をめざすトランプ大統領をとりまく人たち(AERA 2018年4月30日-5月7日合併号より)
再選をめざすトランプ大統領をとりまく人たち(AERA 2018年4月30日-5月7日合併号より)
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トランプ大統領の支持率の推移(AERA 2018年4月30日-5月7日合併号より)
トランプ大統領の支持率の推移(AERA 2018年4月30日-5月7日合併号より)
2016年米大統領選 全州の結果(AERA 2018年4月30日-5月7日合併号より)
2016年米大統領選 全州の結果(AERA 2018年4月30日-5月7日合併号より)

 2020年、トランプ米大統領は再選する。少なくとも大統領自身は本気でそう思っている。「何も考えていない」と批判されがちなトランプ氏だが、実は再選に向けた戦略は既に動き出している。

【グラフで見る】どう変わった?トランプ大統領の支持率の推移

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「まるで本当の大統領のような演説だった。トランプなのに……」

 ニューヨーク市在住でアフリカ系米国人の芸術家、ケリー・ポープさん(29)が、トランプ大統領を褒める言葉を発したのは初めてかもしれない。現政権発足以降、一貫してトランプ大統領を「ニューヨークの恥」と非難し、全否定してきたポープさん。米国時間の4月13日午後9時、トランプ大統領がシリア攻撃について説明した国民向けの演説を見た後の感想は、これまでとは少し違っていた。

「凶暴で下品なクマのような男なのに、今夜は大統領らしく振る舞っていた。シリアの独裁者に子どもたちが殺されている。今回の決断は支持する」

 星条旗のピンバッジをつけた濃紺のスーツに青のネクタイをあわせ、自信を持って正義を国民に訴える姿には、確かにリーダーの威厳があった。ただ、これは大統領なら当然の姿。当たり前のことをトランプ大統領がすると、普通以上に評価されるから不思議だ。

●「米国の正義」を主張してシリアにミサイル発射

 米英仏共同のシリアへの軍事攻撃では、首都ダマスカス近郊などにある「化学兵器関連施設」3カ所にミサイル計105発が発射された。大義名分は「シリアの独裁者による化学兵器の使用が加速し、母親や父親、幼児や子どもたちが苦しみに打ちのめされ、死にかけている」(大統領のテレビ演説から)。

 7年以上続くシリア内戦で、アサド大統領の政府軍による反体制派への化学兵器使用は、2013年8月から国際問題となってきた。当時のオバマ大統領はシリア政府軍への報復攻撃を言明したが行動に移さず、米国内からは「弱腰」と批判され、「弱い米国」を印象づけたと見られている。これが、「強い米国の復活」を強調するトランプ大統領を誕生させる遠因になったと言われるほどだ。それだけにシリア問題は、トランプ大統領にとっても重大なのだ。

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