ぐっちーさん/1960年東京生まれ。モルガン・スタンレーなどを経て、投資会社でM&Aなどを手がける。本連載を加筆・再構成した『ぐっちーさんの政府も日銀も知らない経済復活の条件』が発売中
ぐっちーさん/1960年東京生まれ。モルガン・スタンレーなどを経て、投資会社でM&Aなどを手がける。本連載を加筆・再構成した『ぐっちーさんの政府も日銀も知らない経済復活の条件』が発売中
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撮影/写真部・片山菜緒子
撮影/写真部・片山菜緒子

 経済専門家のぐっちーさんが「AERA」で連載する「ここだけの話」をお届けします。モルガン・スタンレーなどを経て、現在は投資会社でM&Aなどを手がけるぐっちーさんが、日々の経済ニュースを鋭く分析します。

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 今週号のAERAは国立情報学研究所の新井紀子先生との対談が実現しております。膨大な量をしゃべったものをわずか数千文字にしているので、ほとんど全貌が伝わらないのですが、まあ、さわりくらいは伝わると思います(笑)。

 私は金融業を中心に会社経営などをやっていて、日本語でも英語でもほとんどのやりとりがメールとスカイプ。その中でアメリカ人とのメールではめったに発生しない問題……どうも人のメールをちゃんと読んでいない奴がいるという現象を10年くらい前から感じてきたわけです。アメリカ人とも最後は会って確認を取ったりするのですが、日本人とは何度も「お前、わかってんのか」という確認を取らされる羽目になります。

 日本での仕事が非効率なのはこういうのが原因なんじゃないかと薄々思っていたわけで、効率はアメリカに比べると半分くらいに落ちます。そこに新井先生の著作『AI vs. 教科書が読めない子どもたち』が登場したわけです。

 文章を正確に理解したうえで、図やグラフの意味を読み取る、あるいはその逆を読み取る「イメージ同定」は、AI(人工知能)にはなかなかできない芸当ですが、ビジネスの世界ではしょっちゅうデータをグラフ化したりしますよね。でも、新井先生の研究によると、10人いれば3人はこれができないということが証明されてしまったわけですから、これは大変!! 

 3月26日号のAERAでこういう一文を書きました。「北欧はもちろん、アメリカ、中国でさえドイツ基準を取り入れ始めており、このままいけば日本が『エネルギーテロリスト国家』呼ばわりされることは間違いありません」

 日本の断熱の基準が甘い現状を嘆いたのですが、驚いたことに複数(1人や2人ではない)の方が反論してきて、その根拠になっているのが、現在の「国別1人当たりエネルギー消費量」。日本はこんなに少ないのに、なんでエネルギーテロリスト国家と呼ばれるのか、まったく理解ができないと言ってきた。

 このままいけば……つまり何もせずに今の状態でいけば近い将来は、という意味であることは明白ですが、「このままいけば」という言葉もしくは、仮定法が読めていない。これは恐ろしい話だと思いますけどね。ということで、対談をお楽しみください!

AERA 2018年4月16日号