もりもと・りつこ(53)/東京大学法学部卒。商品部長として若い世代に人気の「じぶんの積立」などの開発を主導。趣味の山登りで知り合った夫と二人暮らし(撮影/横関一浩)
もりもと・りつこ(53)/東京大学法学部卒。商品部長として若い世代に人気の「じぶんの積立」などの開発を主導。趣味の山登りで知り合った夫と二人暮らし(撮影/横関一浩)
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 明治安田生命保険広報部長の森本律子さんは「女性総合職1期生」として同社に入社した。大きな異動を繰り返し、奮闘しながら形成してきたキャリアについて、こう振り返る。

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 入社は1987年。当時の明治生命保険(2004年に安田生命保険と合併し、明治安田生命保険に社名変更)に、男女雇用機会均等法施行後、初の女性総合職として入りました。生保を志望したのは「営業する時には自分で作った商品を売りたい。特に付加価値をつけやすい生保が面白い」と考えたから。運良く、最初の配属は保険商品を開発する商品部でした。

 その後、営業や人事、企画、コンプライアンスなど、さまざまな部署を経て商品部に部長として戻り、この4月に広報部長になりました。入社30年余りで15回目の大きな異動です。社内でもかなり多いほうですが、幅広い業務経験が広報部長としての強みになればと思います。

 これまで常に「女性総合職1期生」という冠がついて回りましたが、それは自分の個性の一つ、ぐらいに受け止めています。金融業界に入った均等法世代の女性たちは、男性の同期以上のレベルを求められたり、逆に「女の子」扱いされたりして、疲弊して辞めていった人が多いのですが、当社の期待は「適度」だったので、私はここまで続けてこられたのだと思います。

 キャリアの転機となったのは、35歳で人事部からいきなり営業所長になった時です。約30人の部下の多くは年上の女性営業職で、営業スキルも私よりはるかに上。結果が出せない部下がいてもアドバイスができない。営業所の目標もクリアできず、すっかり自信を喪失しました。血圧も上がりましたね。でも、「なりふり構ってはいられない」とひたすら先輩に教えを請い、あがいてあがいて……いつの間にか壁を乗り越えていました。

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