トランプ政権下での大統領側近(高官)の離職率が高い(※写真はイメージ)
トランプ政権下での大統領側近(高官)の離職率が高い(※写真はイメージ)
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 2月28日の米ワシントンDC。不動産王でもあるトランプ大統領が誇る高級ホテル「トランプ・インターナショナル・ホテル」の目の前にあるレストランで、セッションズ司法長官が、司法省ナンバー2のローゼンスタイン副長官、ナンバー3のフランシスコ訟務長官とともに仲良く食事する様子が写真に撮られた。SNSで「謀反密議」などと話題を集め、一気に拡散された。

 トランプ政権のアキレス腱(けん)になりえるロシア疑惑。2016年の大統領選にサイバー攻撃などを仕掛けて干渉したとされるロシアと、トランプ陣営の共謀があったかどうかを調べているマラー特別検察官を任命したのが、ローゼンスタイン副長官だ。通常は司法長官の権限だが、自身もロシアとの関わりが疑われているセッションズ長官は捜査指揮から外れた。

 捜査の手が迫る中、トランプ大統領は、マラー特別検察官を始め、ローゼンスタイン副長官やセッションズ長官への批判をツイッターなどで展開している。米ニューヨーク・タイムズは、大統領がマラー氏の解任をホワイトハウスの法律顧問に指示していたと報じたが、解任はローゼンスタイン副長官の権限だ。

 副長官は「解任するに値する理由がない」と発言し、「理由がなければ私は動かない」という立場をとっている。

 それだけに大統領はセッションズ、ローゼンスタイン両氏を更迭したがっている。両氏がクビにされた場合に特別検察官の解任権限が引き継がれるはずだったナンバー3のブランド司法次官が2月、民間企業の幹部職につくために突然辞任。そのため、新たな司法次官が任命されて米上院の承認を受けるまでは、フランシスコ訟務長官がナンバー3として権限を受け継ぐ。

 大統領になる前のテレビ番組で「お前はクビだ(You're Fired)」の決めぜりふで人気を集めたトランプ氏だけに、部下の解任は「得意技」。それでも、捜査妨害そのものとなる司法省トップ2人の解任は簡単ではない。そんな中の「密談写真」とあって、「大統領の不信感をさらに強める」と一部の米メディアは騒いだ。

「フリン氏やバノン氏ら側近の解任劇が続いているのは、言うことを聞かない人間はクビにするという2人へのメッセージだ」

 そんな見方をするツイートも、ネット上で目立った。真相はよく分からない。ただ、トランプ政権下での大統領側近(高官)の離職率が高いことは事実だ。(編集部・山本大輔)

AERA AERA 2018年4月9日号より抜粋