B-28、B-26以外にも、大浦湾側の3カ所でN値ゼロのポイントがあり、N値5以下はさらに5カ所あった。北上田氏は「延長1800メートル超にわたる護岸建設予定地で地盤改良が必要になるのでは」と指摘し、こんな懸念を示す。

「深刻な軟弱地盤が確認された水深約30メートルの海底からさらに地下40メートルにわたって地盤改良することになれば、かなり大がかりな工事になります。国は多大なコスト負担や環境に致命的な影響を与えることも辞さない地盤改良を検討しているのではないでしょうか」

 避けて通れないのは設計変更だ。設計変更には知事の承認が必要なため、辺野古新基地建設に反対する翁長雄志知事の在任中は工事の進捗に影響が出るのは必至となる。ただ、本誌の取材に沖縄防衛局は「N値の結果だけでなく、室内試験を含む調査結果を踏まえ、総合的に地盤の強度や性状を判断する」とし、「現時点で沖縄県に埋め立て承認の変更申請を行う考えはない」と回答した。

「現時点で」という回答の背景について、与党関係者はこう解説する。

「知事選までは埋め立ての既成事実を重ね、県民にあきらめムードを浸透させるとともに、工事を止めるために有効な手を打てない翁長知事への批判を高めるほうが得策。設計変更が必要かどうかの判断を示すのは知事選後でいい」

 国の思惑通り進むのか。今秋の知事選の行方にかかっている。

(編集部・渡辺豪)

AERA 2018年4月9日号

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