日本ではスポーツに限らずビジネスの場でも、まじめに黙々と取り組むことを美学とする傾向がある。笑顔はある意味、タブー視されてきた。

 だが、LS北見の選手たちはピンチのときも笑顔を絶やさず、結果を出した。

「もしメダルを逃していたら、悲壮感のない彼女たちの戦いぶりに、批判が出た可能性もあったと思います。でも、そんなことは一切気にせず、最後まで自分たちの姿勢を貫いた。その立ち振る舞いにこそ、強さを感じました」(新井准教授)

 会社で、あるいは学校で。上司や周囲の目ばかり気にして、自分の力を発揮できずにいる人も多いのではないか、と新井准教授は言う。

「その点で、彼女たちはスポーツの枠を超えて、日本社会のあり方にも一石を投じたといえるのではないでしょうか」

 自然体で楽しみながら勝つ。笑顔の裏で究極の理想を実現したカーリング女子日本代表から、学ぶべきことは少なくない。(ライター・栗原正夫)

AERA 2018年3月26日号より抜粋

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