著者が感じた、子どもとの生活の手ごたえと歓びとは…(※写真はイメージ)
著者が感じた、子どもとの生活の手ごたえと歓びとは…(※写真はイメージ)
この記事の写真をすべて見る

『おいしい育児 家でも輝け、おとうさん!』(佐川光晴著)は、主夫である小説家が豊かな育児生活をつづった一冊だ。東京堂書店・竹田学さんは、同著の魅力を次のように寄せる。

*  *  *

 本書は子どもの幸せを考える「こどものみらい叢書」の第1弾。「主夫」としても2人の子どもを育ててきた作家・佐川光晴の語りからは毎日の食事、保育園、日々の遊びなど、子どもとの生活をつくり、学び、育てられてきた手ごたえと歓びが心地よく伝わってくる。また著者の小説世界を支えるまっとうな人生哲学も率直に語られ、それに励まされ自然と背筋が伸びてくる。

 苦しい不妊治療を経て授かった命、出産、夜泣きのエピソードを読むと時に胸が詰まり、目頭が熱くなる。一方で自身の育児生活を顧みると、「おいしい育児」にはまだ程遠いと反省する。「こどものようすをよく見て、きちんと寄り添おう」という著者の姿勢。これがなかなか難しいと実感する毎日だ。それでも大丈夫と、著者からの温かく熱いエールに励まされた者として本書をおすすめしたい。

AERA 2018年3月19日号