大久保:私も、維新を駆け抜けた方々は、やり方や考え方は違っても、日本をよくしようとした思いや決意は共通していたと思います。
島津義:歴史的な確執があると肩を組むのが難しいこともあるかもしれませんが、お互いの思いや立場の理解はできるでしょう。私が懸念しているのは、歴史の一面が注目されると、一部に極端に善悪を断じる、原理主義的な歴史観や考え方が出かねないことです。ですから、今日、西郷も大久保も川路もここに集えてよかったと思っています。
西郷隆太郎:たとえば、西郷家と大久保家は親戚同士でもありますし、殿がおっしゃるとおり、私たちみんなお互いに敬意を抱いていますし、仲がいいんです。
島津義:今年、西郷の命日にみんなで鹿児島に行きませんか。
川路:いいですね。僕は鹿児島にまだ行ったことがないので、皆さんとご一緒できるのは、感慨深いです。
島津義:時代は進んでいくんです。先ほど、大阪の船宿に預けたという義弘公の稲荷のご神体の話をしたでしょう。最近、久光公の直系の玉里島津家のご当主から連絡があって、玉里島津家の東京・広尾の屋敷にそのご神体があると連絡を受けたんです。「義弘公が祭っていた稲荷が家にあるから、返したい」という話になり、今その準備をしています。ご神体は、義弘公の没後400年にあたる来年、精矛神社に来る予定です。
(構成/編集部・熊澤志保)
※AERA 2018年3月12日号より抜粋