先発陣は今やチームのエースとなった大谷(4勝0敗、防御率1.85)、ワールド・ベースボール・クラシック(WBC)の準決勝でメキシコ代表として侍ジャパンの前に立ちはだかったパトリック・サンドバル(2勝1敗、防御率3.16)以外は苦しんでいる印象。だが、若手期待のリード・デトマーズ(0勝2敗、防御率4.85)、昨季ドジャースで15勝をマークし、FAで加入したタイラー・アンダーソン(1勝0敗、防御率5.74)の両左腕は調子が上がってくれば先発ローテーションの3番手、4番手は十分担える能力はあるだろう。リリーフとともに層の薄さは気になるが、ギリギリ“戦える”メンバーが揃っているのではないか。

 一方、打線もチーム成績を見ると、打率(.252)がリーグ13位、本塁打(39)が5位、打点(146)が5位、得点(148)が5位と上位の数字も多い。大谷、トラウトに加え、新加入のジョバンニ・ウルシェラ内野手(打率.299、1本塁打、12打点)、ブランドン・ドゥルーリー内野手(打率.234、5本塁打、17打点)、ハンター・レンフロー外野手(打率.259、7本塁打、20打点)がそろって戦力になっている印象だ。開幕から正捕手を務めていた有望株のローガン・オホッピーが怪我で長期離脱となったが、アンソニー・レンドン内野手、テーラー・ウォード外野手、今季は怪我で出場はないがジャレド・ウォルシュ内野手ら実績ある選手も少なくない。盗塁数(14)はリーグ26位とスピード不足は否めないが、攻撃力も“戦える”と言えそうだ。

 ただ、やはりエンゼルスの長年の課題ではあるが、投打ともに絶対的な選手が他球団に比べ不足し、プロスペクトと呼ばれる若手の有望株も他球団に比べて少ない。大黒柱の大谷、トラウトが離脱となれば昨年同様に一気に負けが込む可能性も十分にあるだろう。

 そんなエンゼルスについて、最新のパワーランキング(各チームの戦力の順位)でMLBの公式サイトは19位、米スポーツ専門局『ESPN』のウェブサイトは17位と評価は高くない。今季も厳しい戦いが続くと見られているが、ポジティブな要素としては昨年ワールドシリーズを制したアストロズが今季は主力のホセ・アルテゥーベ内野手がWBCの怪我で離脱中で、昨年自身3度目のサイ・ヤング賞に輝いたジャスティン・バーランダー投手が移籍し、圧倒的な強さを感じないこと。今季はここまで15勝13敗と5割少し上回る程度だ。

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大谷が残留したくなる成績残せるか?