

「コンビニ百里の道をゆく」は、40代のローソン社長、竹増貞信さんの連載です。経営者のあり方やコンビニの今後について模索する日々をつづります。
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10月31日から、福島県南相馬市で移動販売とドローン配送を組み合わせた新たなサービスを始めました。インターネット通販大手の楽天さんが開発した専用ドローンとローソンの移動販売を連携させて、被災地で日常の買い物に困難を抱える方々をサポートしようという試みです。
拠点となるのは、「ローソン南相馬小高店」。南相馬市小高区は、東日本大震災の原発事故の影響で「避難指示区域」に指定されていましたが、2016年7月に解除。住民の帰還とともに「小高店」も再開し、3カ月後の10月に、午前6時から午後8時までの時短営業を始めました。
でも、高齢のお客さまを中心にお店まで来られない方も多かった。より多くの方に商品をお届けするため、お店から約2・7キロ離れたこの町の集落センターに移動販売車を出し、車では販売できない商品やお客さまから注文があった商品をドローンで運ぶ実験をすることになりました。
例えば、移動販売車では「からあげクン」などのカウンターフーズの販売は許可されていません。車に積める商品には限りもあります。こうした事情を、ドローンを使って解決しようという試みです。
ドローン配送は週1回限定で、1日2~3往復を想定。1回につき重さにして約2キロまで運ぶことができます。店舗から集落センターまでは約7分。少しお待たせしますが、移動販売車がお目当ての商品を積んでいなかったときや売り切れたときなどに、お客さまにご不便をおかけせずにすみます。ご注文をいただけば、「からあげクン」も空を飛んできます。この光景は、壮観だと思いますよ(笑)。
ドローンはまだ規制が厳しく、飛行ルートも限定されています。今回はあくまでも試験運用ですが、ルールが整備されテクノロジーが向上すれば、お客さまのご自宅に直接商品を届けることも可能になるかもしれない。10月31日には、初の実験飛行も成功しました。人手不足を補うツールとしても期待できます。
※AERA 2017年11月13日号