「見てごらん あれが人間の動物園 窮屈にキチンと並べられたオリのかたまり!」
――「動物園のオリの中」
没後20年を過ぎても愛され続けるマンガ家、三原順さん。代表作『はみだしっ子』が、男性ばかりの劇団で上演される。魂をゆさぶる珠玉のセリフの数々はどう表現されるのか。
1975年から81年にかけて「花とゆめ」に連載され、読者を魅了した三原順さんのマンガ『はみだしっ子』が舞台になって戻ってくる。
『はみだしっ子』の主人公は、親から精神的、肉体的に虐待され、家から「はみ出した」、グレアム、アンジー、サーニン、マックスという4人の子どもたちだ。彼らが放浪を続けながら、心を開くことができる大人を探して、さまざまな事件にあう様子を描いていく。
当時の少女マンガの主人公としては考えにくい設定だった。それでも爆発的かつカルト的な人気になったのは、子どもと大人、個人と社会の対立といった、読者の琴線に触れる普遍的なテーマが扱われていたからだ。
作者の三原さんは病気のため95年に亡くなったが、今も作品を愛し、惜しむ声が絶えることはない。三原さんと交流のあった元マンガ家の笹生那実さんはファンサイトの運営に携わり、単行本未収録作品の刊行を求める活動を続けている。
「親からの虐待などつらい体験が描かれているが、子どもなら誰でも共感できる深さがある。少年4人のキャラクターをきちんと描きわけているところがこの作品の魅力なのだと思います」(笹生さん)
新人の登竜門、別マまんがスクールの同期で、三原さんとプライベートでも親しかったくらもちふさこさんは、こう語る。