1996年の安室奈美恵さん(C)朝日新聞社
1996年の安室奈美恵さん(C)朝日新聞社
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 ステージ上では強い女性。アラサー女子にとって、常にトップランナー役を果たした。でも、実際は――。9月20日に来年9月での引退を発表した安室奈美恵さん(40)。30歳のときにAERAのインタビューに応じ、知られざる苦悩と葛藤の日々を語っていた。当時の記事から抜粋して再掲する。

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 1990年代後半、圧倒的な歌唱力とダンスで、シングル曲は軒並みチャート1位。街には「アムラー」があふれた。でも彼女は、常に不安を募らせていた。

「一気にブームになってしまった当時は、次はどこを目指せばいいのか分からなくなったんです。だから“カッコイイ安室奈美恵”として、求められるままに歌って踊る。自分のやりたいことは二の次で、だんだん息がつまりそうになっていました」

 人気絶頂の20歳で結婚した。出産のため、1年間休業。復帰直後から数年の間に、「2度のどん底」を味わった。

「当時は結婚も、出産で仕事を休むことも、何も怖くなかった。でも(復帰後はつらいことが続いて)、なんでこんなに濃い人生なんだろう。もう仕事も“安室奈美恵でいること”もやめたいと思っていました。だけど、今がどん底だとすれば、これ以上悪くなることはないはず。そう思うと、少しずつ楽になれました」

 一人になった時が、アーティストとしての真価が問われる時。だったら、やりたい音楽を片っ端から形にして、聴いてもらいたい。以来、多くのミュージシャンと出会い、自らの音楽を模索した。「安室奈美恵」の名前を出さずにアルバムも出した。「人気低迷」と言われても、気にしなかった。

「スロースターターで、何かに気付くのにも時間がかかるから、音楽も作り続けることでしか自分のスタイルは見つけられないと思ったんです。やっと今、自分の歩き方が分かった気がする。そのせいかな、最近歌うことがすごく楽しい」

 今年、シングル「60s70s80s」で、9年3カ月ぶりにチャート1位を獲得した。メディアは「安室復活」と書き立てる。でも、彼女の中では信じる音楽を続けてきたことに結果がついてきたに過ぎない。焦りがなくなり、「たまに取る1位は楽しい」と言えてしまう余裕も生まれた。去年のコンサートツアーでは、「Chase the Chance」など、懐かしいヒット曲も歌った。

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