典型的な例が浮世絵だ。もともと包み紙に使われていたが、ヨーロッパでその芸術性が評価されて一躍価値を高めた。近年では、前出の北原さんが火つけ役となったブリキのおもちゃなども、再評価され価値が急上昇した例だろう。森永さんがひそかに注目しているのは、ウォークマンやデジカメなど日本製小型家電の過去モデル。
「携帯電話はスマホによって形のバリエーションがなくなってしまったので、昔の品物に価値が出てくるかもしれません」
これまでコレクターは、オタクや変人扱いされ、肩身の狭い思いをしてきた。
60代の切手コレクターの男性もそんな一人。段ボールに数箱分にもなる膨大な切手コレクションを持っている。長年、コツコツ収集してきたが、身内からは「早めに処分しておいて」と冷たい言葉を浴びせられる。
「僕にとっては大切な宝物。だけど、人からするとガラクタなんですね」
と話す男性はどこか寂しそう。しかし今、中古品の売買に火がついている。専門紙「リサイクル通信」によれば、衣料・服飾雑貨とブランド品をあわせた中古市場(15年)は約3900億円とされ、3年で4割成長した。
●メルカリでメリハリ
掘り起こしに一役買っているのがフリマアプリの「メルカリ」(東京都港区)だ。13年7月にサービスを開始し、国内だけでダウンロード数は5千万件を突破。出品数は1日に100万点以上になり、月間流通額は100億円以上だ。主要ユーザーは20~30代の女性だが、中高年にも徐々に浸透しつつある。
同社広報の片山悠(ゆう)さん(30)は言う。
「消費者がアウター(上着)を買うなら中古品でもいいというように、消費を達観して考えるようになっている。消費者が成熟し、より賢い消費活動をするようになり、リユースに対する抵抗感が低減されているのでは」
(編集部・野村昌二、山口亮子)
※AERA 2017年9月25日号
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